2013年6月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が制定され、2016年4月に施行されました。この法律の目的は、障害を理由に不当な差別的取り扱いを排除し、障害のある人々が平等に社会に参加できるようにすることです。合理的配慮という概念は、この法律によって社会に浸透し、障害を持つ人々の支援が重要であることが広く認識されるようになりました。この動きは、国連総会で「障がい者の権利に関する条約」が採択されたことに触発されたものでもあります。
ただし、合理的配慮は自動的に提供されるわけではなく、自分から必要なサポートを伝え、権利として主張することが大切です。合理的配慮を受けるためには、具体的に自分の困りごとやニーズを伝える必要があります。では、どのようにそのニーズを伝えればよいのでしょうか?
自分のニーズを伝える重要性
合理的配慮の根本的な考え方は、国や社会が一方的に「〇〇の障害には△△のサポートが必要」と決めるのではなく、各人が自分自身の困りごとや必要なサポートを伝えることにあります。同じ障害や障害の程度を持っている人でも、感じ方や考え方は異なります。例えば、ある人はできる限り自分でやりたいと考えているかもしれませんし、別の人はサポートを積極的に求めるかもしれません。そのため、何をどう配慮してほしいかを明確に伝えることが非常に重要です。
効果的な伝え方
合理的配慮を求める際には、過去に受けた支援や配慮の実績を伝えることが有効です。過去の経験やサポート内容を具体的に示すことで、企業側や支援機関は、どのような支援が必要で、どのように配慮すべきかをより明確にイメージできます。
また、自己分析や得意なこと・苦手なことをまとめた「自己分析資料」や「取扱説明書」を作成している場合、それを活用することが有効です。加えて、学校や就労支援機関で作成された個別教育計画やサポートブックなどの資料も役立ちます。これらの情報を整理し、必要なサポートを伝えることで、スムーズに配慮を受けやすくなります。
配慮を求める方法
職場で合理的配慮を求める場合、面接の段階や就職後の早い段階で、必要な配慮を伝えることが重要です。就職前であれば面接の際に伝え、就職後であれば、上司や担当者に直接伝えると良いでしょう。しかし、自分から申し出ることに不安を感じる場合もあるかもしれません。その場合は、就労支援機関などのサポートを求めることができます。支援機関のスタッフは、どのように伝えるべきかや、どんなサポートが必要かを一緒に考えてくれるので、安心してサポートを受けることができます。
自分の権利を主張することの大切さ
自分の苦手なことや必要なサポートを伝えることで、職場での生活がより快適になります。自分のニーズを理解してもらい、自分の良さを発揮できる環境を整えるためには、必要なサポートを自ら申し出ることが大切です。自分の権利をしっかりと主張し、適切な支援を受けることで、社会での活躍の場が広がり、より充実した生活を送ることができるようになります。
まとめ
合理的配慮を受けるためには、自分から積極的にニーズを伝えることが重要です。これにより、個々のニーズに合った支援が受けられ、より良い社会生活が実現します。自分のニーズをしっかりと理解し、それを適切に伝えることが、より良い社会参加の第一歩となるのです。
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